鮮烈な朱色の鳥居が重なり連なって、
それはそれは、吸い込まれてしまいそうな
摩訶不思議な空間ができあがっている。
完全に外部と遮断されてはいないから、
外に意識を向けると、スリット状の隙間から、木々の緑と空の青が、
ちらちらと視界に飛び込んでくる。
ゆるく遮りながら効果的に自然や光を取り込む装置になっている。
それがひとたび、朱に染まる内部だけにぐっと意識を向けると・・・・・・。
どこまでも終わりがなさそうな奥行きや、
ほわりと発光しているような色の広がりに、
どんどん引き込まれていく。
胎内に居るような、どこか懐かしいような気持ちで、
浮遊感も味わいながら、ひたすら歩く。
歩いて歩いて、このままどこか異次元へたどり着くのではないかと思ったら。
鳥居が途切れた先も普通に稲荷山のままでした!
数年前に訪れた際、タクシーの運転手さんがぽろっとこぼした、
なるほどな一言が忘れられない。
「やっぱり商売繁盛の祈願に来はったんですか?
一番もうかってるのはねえ、おいなりさんですわ!ワハハ!」