「英国風」とか「日本的」とか「ミックススタイル」とか、
あえてそういう言葉も必要なくなるくらい、
敷地内全部がしっとりと調和していました。
大正から昭和初期に建てられた山荘を修復した本館も、
安藤忠雄設計の2棟の展示館も、
高低差を持つ敷地内に静かに、あふれる緑に埋もれるように存在しています。
クロード・モネの「睡蓮」を数枚、
常設展示するためだけに計画された展示館「地中の宝石箱」は、
地中に埋め込まれ、アプローチ部分だけでも圧倒的なボリューム。
魂を揺さぶられる導入部分です。
そうそう、これなんだ。
問に対する美しい解が明快に表現された建築を見ると、
ぐっときます。
予算だとかエコだとか時代背景だとか、超越したレベルの話で、
ひたすら力強い。
既存部分は、石、タイル、木材、塗装、金物・・・・・・、
どこを切り取ってもディティールが美しい。
ちょうど修復中の箇所がありました。
経年変化に合わせて新たに焼いたタイルを張り直しているようでした。
大変な労力をかけて維持管理されているのだろうと想像します。
敷地に足を踏み入れた瞬間から、心を奪われるのが、植栽の美しさ。
見惚れっぱなしです。
もちろん自然のままの野山ではないし、
入念に計画され、人の手が日々しっかり入っているのだけれど、
作為や技巧的なものが前面には見えない。
全く違和感を感じない。
それはきっと凄いことなのだと思います。
ぐるぐる、ぐるぐる、何周でも庭を歩いて眺めたい、
ほんとうにすてきな場所でした。
写真を撮りだすと危険!帰れなくなりそうです。