堂々とそびえる山を見あげながら、ひんやりと澄んだ空気を味わう。
こんな場所に立つたびに、細胞がすっかり新しいものに入れ替わって、
寿命がビヨ〜ンと延びるような心地になる。
この調子だと150歳くらいまで生きるかもしれない。
ひょいひょいっと上がれそうな位置までが、実際はとても大変だったりして、
距離感がつかめなくなる。
「大パノラマ」なんていうと少し安っぽいけれど、
ぐるりと見渡した眺めが壮観だ。
撮ってきた写真をパソコンで確認していると、いただきに人影らしきものを見つけた。
拡大すると、稜線の険しい岩場に確かに5〜6人居る。
プールの飛込み台さながら突き出した岩の先端に足をぶらりと垂らして座る人や、
尖った岩の上に立つ人。
強い精神力と体力をもって経験を積んだ人だけが見られる特別な情景は、
どんなものなのだろう。
グーグルアースでペルーのマチュ・ピチュ遺跡だって、
上空から見られるような時代だけれど、
この目で見てカラダを使って感じたこととは全然違う。
そこへたどり着くには、
ドラえもんに「どこでもドア」を出してもらうことしか浮かばない私は、
下界のパソコンの前で、この人たちの見ている「なにか」に思いをめぐらせた。