「弥生」というと、
白に近い薄紅色の、清潔であたたかい色あいが、
あたまのなかに浮かんできます。
とても明度の高い、光あふれるような色味。
ふと、この単語は「今月の名前」なはずだけれど、
なぜかつねに生活のなかに、ちらちら見え隠れしているような、
どうも一年ぶりの再会ではないような気がするのです。
親しい友人に「やよいちゃん」はいないし、
うちの食器棚に「弥生式土器」は入っていないはずだし……。
3月に入って5日間考えて、机の前でやっと気づきました。
パソコンのデスクトップ上の小さな四角に、この2文字が。
会計ソフト「弥生」のショートカットがありました。
意味に意識を向けることもなく、
毎日、2文字を記号として見ていたのでした。
しばらく詰まっていた配管に、じゃーっと水が流れたような、
春の一瞬でした。