絡み付く湿り気とともに、
まぶしく焼ける夏へ向かう準備が進んでいる。
潤っている。
紫陽花も、草も、
みんな同じように色濃く勢いを増してきた。
ちょっと目を離した隙に、
なかなか立派に成長している草だけに向かって、
お願い事を呟いてみる。
「君達はおとなしくしててくれませんか」
たいそう身勝手だと思う……。
シトシト、ザァザァ、ポツポツ、パラパラ。
刻々と変化するリズムと、
無数のバリエーションで、
空から水が落ち続ける。
その気配を隣に感じながら動く日中は、
なんだか静かに落ち着ける。
ゆるりと雨の日も、
カラリと晴れた日も、
淡く曇った日も、
それぞれ違う良さがある。
どうか今年は、
皆の暮らしを押し流したりしない、
じわりと沁みる恵みの雨であってください。