水に届いてはね返った陽がキラキラと光る。
とても浅い川の水面で、形を変えながら輝き続ける。
ずっと同じ形でいられない訳はふたつあった。
水が流れていること。
上を覆うモミジの柔らかな葉が風に揺さぶられて、
すり抜ける光もゆらぐこと。
木々の影がつくる穏やかな日陰のなか、
動くスクリーンに動く光が映し出されて、
何倍にも、まばゆくなっている。
そんなせせらぎの中に一組の親子がいた。
裸足でバシャバシャ遊ぶ小さな男の子を、
優しく見守っている若いお父さん。
はしゃぐ楽しそうな声と、サラサラと微かな水の音が一緒に響く。
ゆられる葉が擦れる音がサワサワと鳴る。
姿は見えないけれどキューっという鳥の声が届く。
足元の草から濃くしめった匂いが立ちのぼってくる。
これ以上は何もいらないと思った。
橋の上からずっと見ていたら、
ただただ、うつくしくて、なんだか少しくるしくなった。
胸がいっぱいになったみたい。